アニノベル › 作品紹介
アニメ風の吹き出しと読み上げで読める作品を、一編ずつご紹介します。
太宰 治
冒頭の一行だけで、もう物語が走り出しています。羊飼いのメロスが、人を信じられなくなった王に腹を立て、親友を人質に置いて三日の猶予をもらう。期限までに戻らなければ友が死ぬ。それだけの筋書きです。 短い作品ですが、会話の分量…
宮沢 賢治
山奥で道に迷った二人の紳士が、立派な西洋料理店を見つけます。扉をくぐるたびに新しい注文書きが現れる。髪をとかせ、靴の泥を落とせ、壺のクリームを塗れ。言われるままに従ううち、何かがおかしいと気づきはじめます。 この作品は、…
江戸川 乱歩
魚津へ蜃気楼を見に行った帰りの汽車で、「私」は奇妙な男と乗り合わせます。男が大事そうに抱えた押絵には、老人と若い娘が描かれている。その老人は、男の兄だというのです。 乱歩の作品のなかでも、怖さより美しさが勝つ一編です。語…
芥川 龍之介
職を失った下人が、荒れ果てた羅生門の下で雨宿りをしています。楼の上にのぼると、死体から髪を抜いている老婆がいた。咎める下人に、老婆は自分なりの理屈を述べます。その理屈を聞いた下人が、次に何をするか。 教科書で読んだという…
小泉 八雲
吹雪の晩、渡し守の小屋に閉じ込められた二人の樵。若い巳之吉が目を覚ますと、白い女が老いた茂作に息を吹きかけていました。女は巳之吉を見逃すかわりに、今夜のことを誰にも話すなと言い残して消えます。何年も経ったある晩、巳之吉は…
宮沢賢治
貧しい少年ジョバンニが、気づくと銀河をめぐる汽車に乗っています。隣には親友のカムパネルラ。二人は星をたどりながら、次々と現れる乗客と言葉を交わし、やがて別れを迎えます。 賢治が生涯手を入れ続け、完成を見ないまま遺した作品…
夏目漱石
名前のない猫が、英語教師・珍野苦沙弥の家に住み着き、そこに出入りする人間たちを見物します。美学者の迷亭、理学者の寒月、詩人の東風。彼らが集まっては他愛のない議論を延々と続ける、その様子を猫が論評する。それだけの作品が、文…
夏目漱石
無鉄砲な江戸っ子が、四国の中学校へ数学教師として赴任します。赤シャツ、野だいこ、山嵐、うらなり。勝手にあだ名をつけた同僚たちとの衝突が、一人称でまくし立てられていきます。 最初から最後まで「坊ちゃん」の声で語られる作品な…
岸田國士
劇作家・岸田國士が、舞台の上で話される言葉について書いた一編です。書かれた台詞が俳優の口を通ったとき何が起こるのか、日常の言葉と舞台の言葉はどう違うのか。 小説ではなく、言葉そのものを論じた文章です。ただ、台詞を吹き出し…
岡本綺堂
『半七捕物帳』で知られる岡本綺堂が、自分の見聞きした江戸から明治へのうつり変わりを綴った随筆集です。町の匂い、芝居小屋のにぎわい、火事、地震。作り話ではなく、そこにあったものの記録です。 当サイトで二番目に長い作品で、通…
太宰治
五人きょうだいが、ひとつの物語を順番に語り継いでいきます。長男は理屈っぽく、次男は気取り、妹は妹なりに。同じ登場人物の話なのに、語り手が替わるたびに話が勝手に捻じ曲がっていく。そのずれ方そのものが読みどころです。 語り手…